2026年、広告業界とインフラ業界の境界が急速に溶け始めている。従来、広告といえばメディアバイイングやクリエイティブ制作が中心だったが、今やデジタルサイネージ、スマートシティ構想、交通インフラとの連携が新たな主戦場となりつつある。
DOOHの急成長と都市インフラの融合
デジタルアウトオブホーム(DOOH)市場は、2025年に前年比23%増を記録。特に注目すべきは、交通系ICカードやモバイル決済データとの連携による「リアルタイム・コンテクスチュアル広告」の台頭だ。駅構内のデジタルサイネージが時間帯・天候・乗降客数に応じて表示内容を自動最適化する仕組みは、もはや実験段階を超えている。
東京メトロやJR東日本が推進するスマートステーション構想では、広告収益モデルが駅インフラの維持・刷新コストの一部を担う設計になっており、広告とインフラが相互依存する新たなエコシステムが形成されつつある。
ブランド体験としてのインフラ投資
もう一つのトレンドは、企業がインフラそのものに投資することでブランド体験を構築するアプローチだ。Googleのサイドウォーク・ラボや、トヨタのWoven Cityが示したように、テクノロジー企業が都市設計に関与することは珍しくなくなった。
広告代理店やブランディングスタジオにとって、これは単なるトレンドウォッチングでは済まない構造変化だ。クライアントが求めるのは「メディアプラン」ではなく、「生活動線の中にブランドが自然に存在する設計図」である。ASTERでも、都市開発プロジェクトにおけるブランド戦略の策定支援を複数手がけており、この領域の需要は確実に高まっている。
広告×インフラ時代に求められるスキルセット
この変化は、広告業界で働く人材に求められるスキルセットにも影響を与えている。従来のマーケティング知識に加え、都市計画・建築・データサイエンス・IoTに関するリテラシーが不可欠になりつつある。
特にアジア太平洋地域では、急速な都市化とデジタルインフラ整備が同時進行しており、広告とインフラの融合が最も加速するマーケットと見られている。バンコク、ジャカルタ、マニラといった成長都市では、日系企業による広告×インフラの統合的なアプローチへの関心が高く、ASTERの東京・広島・バンコクの3拠点体制が活きる領域でもある。
今後の展望
2026年後半にかけて、広告×インフラの融合はさらに加速するだろう。カギを握るのは、テクノロジーの進化そのものよりも、「人の動き」と「ブランドの存在感」をいかに有機的に結びつけるかというクリエイティブの力だ。我々ASTERは、この領域において引き続き最前線からインサイトを発信していく。