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行列の待ち時間を接点に変える——Del Monteがウィンブルドンで配った「無料の親切」

集客は、人を集めるだけが方法ではない。「すでに誰かが集めた行列」に、自社の接点をそっと差し込む——それだけで、退屈な待ち時間が最高の接客時間に変わる。2026年7月、Del Monteがウィンブルドンの行列でそれを証明した。

Del Monteは2026年7月、テニスの聖地ウィンブルドン名物の長蛇の列「The Queue」に、人気ヘアスタイリストのポップアップ床屋を出店した。並ぶファンに、名選手風のヘアカット(ボルグのロングヘア、テニスボール型のバズカットなど)を無料で提供し、あわせてフルーツを配ったのだ。狙いは、自社の「Fresh Cut(カット済み)」フルーツシリーズの名を、体験として記憶に刻むこと。「12時間並んでもいい」が78%、「並ぶ間なら無料カットを受ける」が40%という自社調査が、企画の裏付けになっていた。

なぜ効いたか

行列とは、退屈と手持ち無沙汰のかたまりだ。その真ん中に「役に立つ無料サービス」を差し込めば、感謝と一緒にブランドが記憶される。しかも商品名「Fresh Cut」を「無料ヘアカット(Fresh Cut)」というダジャレで体験に翻訳したことで、企画に一本の筋が通った。名選手風カットは写真に撮りたくなる仕掛けで、それ自体がSNS投稿の口実になった。他人が集めた群衆の待ち時間を、まるごと自社の接点に変えたのである。

中小企業ならこう使う

自社が主催しなくても、人が「待っている場所」はどこにでもある。地域のイベント会場、人気店の行列、駅の乗り換え動線、商談前の待合室——そこに、自社の名前やキーワードに掛けた小さな無料サービスを持ち込む。たとえば工務店なら住宅展示場の待機列で「その場で間取り診断」、飲食店なら順番待ちの客に「一口サンプル」。退屈な時間ほど、ちょっとした親切が濃く記憶に残る。集客とは、群衆をゼロから作ることではなく、既にある群衆の“すき間”に入ることでもある。

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