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Industry News 3 min read

看板からはみ出して事件にする——Dreamiesが街に這わせた「3Dの猫」

「猫はこのおやつに夢中になる」——ペット用品なら誰でも言える一文だ。Dreamies(マースのキャットスナック)は、それを言葉で言う代わりに、街の建物をよじ登る猫の大群にして見せた。平面の看板に収める代わりに、看板からはみ出させたのだ。広告が「絵」ではなく「その場で起きている事件」に変わったこの一手には、露出予算の限られる中小企業にこそ効く「型」がある。順番に分解していく。

何が起きたのか

2026年、Dreamiesはロンドンのショアディッチ(Kingsland Road、Quaker Streetなど)で、「Ad Attack(広告への襲撃)」と名づけたOOH(屋外広告)を展開した。巨大なDreamiesのパッケージを載せた看板に向かって、実物大の猫が屋根から雨どい、足場をよじ登り、飛びかかろうとしている——その姿を、手作りのFRP(繊維強化プラスチック)製の立体像にして、実際の建物のあちこちに設置したのだ。

猫は、実際に「Dreamiesを探す猫」の姿勢を3Dスキャンして造形し、一体ずつ手塗りで仕上げられた。看板の中の平面イラストではない。街のスケール感の中に、本物大の猫が”侵入”していた。制作はadam&eveDDB London。The DrumやLBB、Muse by Cliosといった業界メディアが「今の広告」として取り上げた。

なぜ効いたのか

からくりは一点にある。「客が自社の商品をどれだけ欲しがるか」という、誰もが知っている誇張された真実を、看板の枠内に留めず、現実の空間に立体として這わせたことだ。

平面の広告は、どんなに派手でも「広告の中の出来事」として処理される。だが、看板の枠から飛び出して現実の建物に取りついた瞬間、それは「広告」ではなく「いま目の前で起きている事件」になる。通行人は二度見し、「なぜ猫が壁を登ってる?」という違和感のままスマホを向ける。その一枚が、広告費を一円も足さずに拡散していく。しかも、あそこまで作り込んだ立体像の物量そのものが、「この会社は本気だ」というブランドの自信に見える。言葉で「大人気です」と書くより、はるかに雄弁だ。

中小企業なら、こう使える

「うちに巨大な看板予算はない」——そのとおり。だが構造だけ抜けば、規模は問わない。自社の商品・サービスを客がどれだけ求めているかを、平面のチラシやバナーに閉じ込めず、現実の空間に”はみ出させる”。

たとえば建設・解体。看板に重機の写真を載せる代わりに、実物大のユンボの爪が仮囲いを内側から突き破って”解体中”に見える立体パネルを、現場の囲いに取りつける。通りかかった人は「え、壊れてる?」と足を止める。たとえば採用。「人材が奪い合いです」と求人票に書く代わりに、複数の会社のロゴが一人の人材を綱引きしている立体オブジェを、合同説明会のブースに置く。

共通するのは、主張を”絵”のままにせず、現実の物として空間に置くこと。「途中で起きている事件」に仕立てれば、そこに居合わせた全員が撮影者になる。平面から一歩はみ出すだけで、広告は勝手に運ばれ始める。

まとめ

Dreamiesがやったのは、「大人気」という当たり前の主張を、言葉でなく立体でぶつけたことだった。看板の枠を一歩越えるだけで、広告は”事件”になり、通行人は撮影者になる。世界的ブランドでなくても、現場や店頭という「現実の空間」を持つ中小企業なら、むしろ再現しやすい型だ。

ASTERでは、こうした話題の広告を100本以上「なぜ効いたか」の構造まで分解し、御社の業種に翻訳する仕事をしています。自社の”当たり前の強み”を、どう空間に立体化するか。一度一緒に棚卸ししてみませんか。

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